2018年6月14日付けプレスリリース【PDF】

25周年記念誌&記念事業メニュー

 日本ICカードシステム利用促進協議会(以下、JICSAPと呼ぶ)は、2018(平成30)年3月に設立25周年を迎え、「ID認証技術推進協会 / 英文名称:Japan ID Connect with Secure Authentication Promotional association」(以下、新生JICSAPと呼ぶ)に名称を変更し、新たな活動を実施してまいります。

 JICSAPは、1993(平成5)年3月にICカードシステム利用促進協議会として発足しました。設立後10年間においてICカードシステムを普及・定着させ、より高度化した社会システムを築いていくことを目的に掲げ、汎用的な業界標準と位置付けられるJICSAP ICカード仕様や、ICカードに関わるJIS原案の作成などに取り組んできました。
 設立10周年を迎えた2003(平成15)年1月には、より社会的責任のある組織として法人化(有限責任中間法人。その後、2009(平成21)年7月に一般社団法人へ移行)を行い、機器間の互換性問題の解消や、解決すべき業界課題を議論する場として、その活動を活性化してまいりました。
 ICカードが提供してきた機能の本質とは、「本来の権利を有する人が、正しく適切にサービスを利用できること」にあります。そうした「権利」を安全に運ぶ技術や媒体は、紙の媒体から磁気カードへ、そしてICチップを内蔵したICカードへと、この25年で大きく様変わりしてきました。そして、その変遷は今なお現在進行形の途上にあり、指紋、静脈、虹彩、顔など人間の生体情報を拠り所とする生体認証技術(バイオメトリクス)や、光学的に識別可能なバーコード/二次元コード等々、多種多様な方式が世の中に溢れかえっています。これらは見た目や使い方こそそれぞれに異なりますが、いずれも私たちの「ID認証」のために用いられる点で、同じ目的のために生まれた技術と考えられます。

「これからは、多様化する個人の選択に応えられるサービス性の高いシステムや、セキュリティが備わり、プライバシーが守られて、人間に安心感を与えることのできる社会システムが、要求されていくものと考えられます」

(ICカードシステム利用促進協議会「設立主旨」1993年3月より)

 JICSAPが設立時に掲げた理念は、今も生きており、25年を経た現在の社会においても変わらずに有効であると考えます。しかし、そのための手段は、もはやICカードにとどまるものではありません。
 私たちの生活を支えてくれる、身の回りの機器やサービスがインターネットに接続されるのが当たり前となったIoT(Internet of Things)社会において、個の認証の重要性は、今後ますます高まっていくことでしょう。

 新生JICSAPは、活動25周年を機に自らの社会的役割を見つめ直し、社会の変化に対応して、今後は活動の対象をICカードシステムだけに留まらず、ID認証技術全般へと広げてまいります。これにより生活者が、さらに高度化された情報社会の中で、安心・安全をもって、自らの権利を正当に行使していける社会システム作りの一翼を担っていくことを目指してまいります。
 何卒、趣旨にご賛同のうえ、当会の活動に積極的なご参加を賜りますようご案内申し上げます。

2018年6月13日
ID 認証技術推進協会
代表理事(当時) 山口 重樹

今後の活動概要

1.事業再編に関する基本的な考え方

 JICSAP活動の理念は、設立趣意書にある「多様化する個人の選択に応えられるサービス性の高いシステムや、セキュリティが備わり、プライバシーが守られて、人間に安心感を与えることのできる社会システム」の実現を目指すものである。この理念は今も生きており、25年を経た現在の社会においても変わらずに有効である。
 設立当初およびこれまでの活動では、この理念を実現するためにICカードが最も有力な技術として期待されてきた。しかしながら、インターネットの普及やクラウド化の進展等によって、ICカードのみならず、ID/パスワード、QRコード、各種カード(IC、磁気等)、スマートフォンに搭載されたICチップ、生体認証のような多様なID認証手段が活用され、今後も社会的な要請に応え得る技術として活用されていくものと考える。
 新生JICSAPはICカードだけに留まらず、多様なID認証技術の活用を基本としてJICSAPの掲げる理念の実現を目指すものとする。

 下図に事業再編に関する基本的な考え方を示す。

図 事業再編に関する基本的な考え方

2.全体活動概要

JICSAP設立25周年活動宣言に基づく活動概要を以下に示す。JICSAPでは、従来のICカードの利用促進の活動で得た知見を活かし、ID認証技術の活用における幅広い分野での社会システムの実現に貢献していくものとする。

表 活動概要の変遷

3.個別活動概要

①ID認証技術に関する市場の調査・研究・ビジネスモデル構築・実証実験
・今後、社会的なニーズや会員との意見交換、認証技術部会の活動等を通じて、注力する技術分野を選定及び調査・研究等の深掘り。
・Android搭載スマートフォンにおけるHCE技術に着目した利活用の検討(継続実施)。
・国内外の注目すべき取り組みについて継続的に現地調査等を行う(例:JICSAP平昌(韓国)オリンピック/ITソリューション視察等)
・ICカード生産調査の実施(JBMIAカード及びカードシステム部会において2001年から実施。その理念を継承)

②ID認証技術を普及、定着させるための普及・啓蒙、コンサルティング、ベンチャーキャピタリング等の各種支援活動
・国内外の関連団体等と連携し、ID認証技術の普及、啓蒙のためのガイドライン等の作成。
・ID認証技術に関連するベンチャー企業と会員との意見交換など、先端技術・サービスに関する会員への情報提供(JICSAP研究セミナーの開催など)。
・ID認証技術に携わる若い技術者やビジネスパーソンの育成の支援。
・JICSAP会員間の交流サポート(エグゼクティブ懇親会、会員各社による製品・サービス説明会の開催など)。
・ID認証技術に関する技術講座の開催(これまで実施してきた「わかりやすいICカード講座」に類似の他技術に関する技術講座)。

③ID認証技術の標準化とそれに関わる認定サービスの提供
・長年実施してきたICカード関連のJIS原案作成作業について社会的なニーズに応じた活動の見直し。
・これまでのJICSAP活動の知見を活かした特定分野におけるICカードのプロテクションプロファイルの策定。
・QRコードの活用に関するガイドラインの策定
・JICSAPの知見を活用でき、社会的な要請のある標準化活動

④国内外の関連団体、関連省庁等との意見交換、業務連携等
・ICカードに関わるNFCフォーラム、GlobalPlatform、NICSS等の団体との継続的な情報交流。
・上記以外のID認証技術に関連する団体、関連省庁等の意見交換の推進。

⑤その他ID認証技術の利用促進に関する必要事項
・その他ID認証技術の利用促進に関する必要事項について、会員企業等のニーズに応じて実施。

以上