ICカードの国際規格(ISO/IEC規格)について
ICカードの国際規格として、「ISO/IEC規格」があります。
現在市場に流通しているICカードの大部分は、これらの規格に準拠して製造されており、ICカードの互換性が確保され、また大ロットでの製造が可能となることからコスト削減にも寄与しています。
ICカードには、大別して、接触型(外部端子付)の非接触型(外部端子無し)の2種類があり、また、非接触型ICカードは、リーダーライターとの通信距離に応じて、さらに3種類に区分されています。
ICカードのISO/IEC規格もこれらのICカードの種類に応じて、異なる番号が付与されることにより、区分ができるようになっています。
その他に、規格で決められたICカードの機能試験の方法も、独自のISO/IEC規格となっています。
資料:ICカードのISO/IEC規格の詳細(PDFファイル:52KB)
ICカードのJIS規格(日本産業規格)について(ISO/IEC規格と一致する ICカードJIS規格の廃止に関して)
ICカードの規格には、上記の「ISO/IEC規格」と内容がほぼ一致する日本産業規格「JIS規格」もあります。
かつてICカードの普及黎明期に当たる1990年代の後半から2000年代半ば頃までは、ICカードの国際標準化の状況が現在ほどには成熟しておらず、規格自体の正確な理解や、ICカードを組み込んだ各種サービスの開発において、日本語で作成されたJIS規格が産業界から求められ、ICカード市場の拡大に一定の役割を果たしてきました。
当協会(JICSAP)でもこのICカードJIS規格の制定・改正に深く関わり、実に24本に渡る「ICカードJIS」について、品質の維持と、ISO/IEC規格の改定に伴う記載内容の更新作業に、長らく取り組んでまりいました。
しかし、ICカードが広く社会に普及した現在、下記のような点で、市場に環境変化が表れてきました。
- 近年、JIS(ISO/IEC規格を日本向けに親和性のある日本語にて表現したものであり内容はISO/IEC規格と同一)の原規格であるISO/IEC規格の改定が頻繁、複雑化(構成の変更など)していることに加えて、分量の増加等があり、タイムリーにキャッチアップしてJISに反映することが極めて難しくなってきたこと
- JIS規格の主な読者である技術者が、ISO規格の最新版(英語文書)を直接参照可能となったこと。昨今は自動翻訳システムの精度も上がり、またISOの頻繁なる改定時にもタイムリーに直接の参照が可能である
- 現在社会で利用されているICカードシステムについて、当該JISが存在しなくなった場合の影響について調査したところ、特段の問題は生じないことがわかったこと
このような状況を受け、当協会(JICSAP)では、記載内容がISO/IEC規格と一致する(これを専門用語で「IDT(identical, 一致)」と呼びます)ICカードJISについては、各規格の見直しの時期の到来を待って、順次、廃止としていくことを経済産業省に答申することを決定し、2020年以降には実際にICカードJISの廃止が進んでいます。
なお、内容がISO/IEC規格と完全一致しないICカードJISについては、今後も当協会において、変わらず更新を行ってまいります。
以下の一覧表では、廃止となったICカードJISに関して、今後参照すべきICカードのISO/IEC規格を紹介しますので、ご活用ください。